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レンタルのメリットはなんと言っても必要な時だけ借りられて不要な費用を払わなくて良いことです。窯を所有すると様々な費用が掛かります。

窯の本体代だけで数百万、電気窯なら電気配線工事、窯設置代、保険代、窯の場所代、メンテナンス代・・・

焼かない時も毎月必ず焼いた時を想定した電圧での基本料がかかり高額なランニングコストが必要となります。

もちろん焼成すればその分電気料金も上乗せされて掛かります。

レンタル窯でかかる費用

レンタル窯でかかる費用はレンタル費用と保険代、それに使用した分の電気代だけで済みます。

1度自分で窯を設置してしまうと数百万近くもろもろでかかってきますが、レンタルなら全国の好きな土地のレンタル窯から利用シーンにあわせて借りたい時だけ借りることができます。

比較的安く借りられるのは県や市などの公共機関等が税金で運営している施設や、陶芸窯のメーカーが直にレンタルしているところです。

(※公共施設では営利目的の制作はできない場合が多いため事前の確認が必要です。)

デメリットは貸してもらえないと使えないことです。

家に窯があれば焼きたい時に自分の都合に合わせて焼くことができます。

しかしレンタル窯の場合では、借りに行くという部分がハードルになってしまいちょっとした用事には使う気になれないことも多いでしょう。

また、自由に釉薬を実験・研究できないことがあげられます。

自己所有の窯であれば好きな原料や調合を試しながらオリジナル釉薬の実験をしたり、好きなように施釉することも可能でしょう。

しかしレンタル窯では当然そのようなことはできません。

釉垂れ、爆発、窯を痛めるようなリスクのある実験は借り物の窯ではできないので、あくまで借りた状態のままで返す必要があります。

※さわ陶芸教室では窯の耐用年数から逆算して1回の焼成にかかる維持管理費と使用電気代を計算した費用が窯レンタル料金になります。

※選べる窯は、大型15kwの電気窯が1台レンタルできます。

※電気料金は焼成する月の九州電力の電気料金に合わせて計算するため、電気料金の改定のたびに変動します。現在は2024年12月の九州電力の料金の費用です。

メリット

・気軽に引っ越せること

→一度アトリエと窯を構えると数百万単位かかるため頻繁に引越しはコストがかかりすぎる

・メンテナンスが不要

→電熱線や棚板、窯や窯場自体のメンテナンスは高い

・初期費用が安く維持費がかからない

→使いたい時に使う分だけの出費で良い

・借入がなく事業ができる

→窯の購入や付随工事+窯がおけるアトリエを建てたり、改修工事をするには一気に数百万円が必要になり、まとまったお金が用意できない場合は銀行に借り入れが必要になること

・税金や保険料などの出費がない

→アトリエや窯場の火災保険や地震保険など、建物や所有機材や備品にかける保険が高い

・設備の故障や老朽化、災害で被災した時も修繕にかかる費用はかからない

→メンテナンスや維持管理はオーナー持ち。地震大国日本においては、いつどこで地震があるかわからないため、これはレンタルの方が絶対に良いと言える一番のメリットかもしれない。

デメリット

・借りるにはレンタル料を払い続けなければならない。

→使う分だけのレンタル料金と焼成にかかる電気料金、借りるための保険

・資産にならない

→資産にもならないが、陶芸窯の廃棄代金も高額なので持たないメリットもある

・高リスクな実験はできない

→挑戦的な釉薬は窯を痛めるリスクも高いのでこれをやりたいアーティストは窯を買って窯を痛めるリスクごと購入してしまうのがおすすめ

・空きがなければ新規契約や契約更新がしにくい。

→あくまでレンタルなので貸してもらえなければ使えない

大量生産・薄利多売のビジネスモデルなら窯購入がおすすめ

これらのメリットデメリットをまとめてみると、見えてくる答えがあります。

窯を買うなら、常に稼働し続け大量生産すると投資コストが回収できます。家や車と同様に窯も経年劣化するので、使わない期間が開けば開くほど老朽化や寿命が縮まります。

そして、大量生産可能な製品は製造コストが下げられます。イメージで言うと同じ色形のマグカップを1万個とかそういう生産数で絶えず製造するのが理想的です。

少なくとも1ロット300個以上と計算して製造すれば、薄利多売のビジネスモデルが成り立ってくるので窯を稼働し続けながら、利益率を上げて、価格競争でも有利になり、生産数が多いことで市場シェアも高められます。

大量生産のためには同じものを多く生産することがポイントになります。大量に生産しロットで納品することによってコストや運送費も抑えられ、価格を下げても同じ品質のものを届けることができます。

大量の在庫を持つリスクが生まれても捌ける、または持ち堪えられる資本がある大企業向きの作り方と言えます。

それによって薄利多売のビジネスモデルはお客様へ低価格の商品を提供できるようになっています。

大量生産ができない場合

上記の例で利益率が上がるのは窯業の工場で機械を導入している業者さんだけであると言えます。昔、中国の窯業工場に研修で行きましたが、ほとんど機械が製造していて本当にすばらしいと感動しました。

機械産業が進んだおかげで大量生産ができるようになり、お金をたくさん持っていなくてもそこそこの食器ならワンコインショップやホームセンター、大型インテリアショップなどで、いろんな食器を買えるようになりました。

学生の引っ越しなどの新生活で物入りな時、どれだけ助けられたか・・・。

職人・工芸作家・アーティスト、いろんな呼ばれ方をしている方がいますが、機械化していない制作方法をしている方は、大量生産・薄利多売は地獄をみると言っていいでしょう。

人間は機械の速さには勝てません。

逆に人間が機械に勝てると言うのは、手で少しずつ修正を加えながら舵取りすることができる少数生産・厚利少売のビジネスモデルしかないと思っています。

手仕事の場合なら、機械より時間・手間・コストがかかるものの手作業ゆえに小回りが効きます。

特段費用は安くなりませんが、30個づつだけ少数で作ってみたりして、お客様の反応を直接みながら多種多様な商品展開ができます。

(工場生産だと30個だけ作るというのは機械に合わせた型代やサンプル製造でむしろ商品開発コストがかかりすぎて割に合わなくなります。)

もちろん大企業のように潤沢な資金がないし、品数が少ないため大量に顧客を獲得することができないということは、それだけ1つの商品を販売する難易度が高くなります。

さらにto C向けのビジネスは、ロットで納品する場合と違って直接お客様に1つ1つ届けることが多くなるため、きめ細やかなサービスは必須です。

私がレンタル窯をおすすめするのは、大量生産するための窯業の機械を持っていない方で、これからも手仕事で職人・工芸作家・アーティストとして制作する方です。

窯を常に稼働し続けるメリット・デメリット、窯を所有するメリット・デメリットを考えると、よっぽどの理由がないかぎり、レンタル窯の方が維持コストが抑えられます。

よっぽどの理由とは、近くにレンタル窯がないとか、リスキーな釉薬で制作したいとか、レンタル窯への移動手段がないとか・・・

さわ陶芸教室では、アーティスト限定のレンタル窯もございます。